人柄

人間、突き詰めて考えると偉人になるか、普通に暮らしていくかである。

住みにくいこの世の中を、少しでも快く過ごすために音楽・映画・文学等の芸術があると思う。

それらに浸っている時、日常の矛盾・不条理からくるストレスから少しは解放される。

生きているだけで人間は大変なことであり十分である。というのが五木寛之。

一方、自分の美意識に殉じた三島由紀夫や立原正秋は気に入らない人間を「こんな人間でもいきているのか!」とか「人間の弱さを認め、人間は弱いものだと諦めた人間」を嫌った。

奥が深い話で、小説家でも思想家でもない私にはどちらが正しいのか解らない。他方「向上心がない奴は馬鹿だ」と云ったのは漱石のこころの一節だが、その向上心とは?資格を取得したり、専門家としての技量を磨くことの代名詞になっているが、果たしてそれは、自分にとって有利なこと・社会的に認められることであって本当は、「人間性」を磨くことが向上心だと思う。

「よりよい人間関係」こそが人間に幸せを感じさせ「よい人間関係」は「人柄」が信頼されることであって、これは、職業的能力や身体的能力とは違ったもっと根本的能力である。

「人柄」を磨くことが「向上心」だとすれば、それに向かって努力すればいいのだろう。