
ある雑誌の取材でイチローが言っていた。「フィールドでは、どんな状態であろうと常に冷静でいる。そのために高い給料をもらっているのだから」この言葉に、とても強い感動を覚えた。
野球に限らず、人生のいろんな局面で正しい判断を下す為には、深い専門知識や幅広い教養、多くの物事を迅速に処理する能力や人をコントロールする力など、必要不可欠な事はいくつもあるが、それ以前に本人が冷静である事。これが絶対条件である。が私の場合は感情に振り回され、常に冷静でいるというのはかなり困難だ。人間の脳は普段は理性的な前頭葉が活動しているが、突然目の前に危険が迫ったり、大きなストレスが加わると、脳の中のPAGという部位の活動が活発になり、ここが前頭葉の活動を阻害するそうだ。なので、このPAGという部位が活動すると、パニックった状態で何もまともに考えられなくなったり、急激に記憶力が低下したり、痛みなどもあまり感じなくなったり、簡単な足し算すら出来なくなったりもする。
ただ、このPAGの活動をコントロールすることはとても困難だが、訓練次第では前頭葉の活動を押さえ込む力を弱めることが可能のようだ。ただし、この訓練は非常に高度で困難なもので、これができると、興奮している自分の中に、もう一人の冷静な自分がいるという状態だ。イチローも、フィールドでの戦いという興奮の場面にありながらも、頭の中でクールに戦いの局面を計算している、別の自分を持っているという、一見矛盾したような状態で試合ができる。すごいことだと感じました。